障害者とは違って、高齢者は多くの機能が、時間的な差こそあれ、いずれも衰えていく。視覚情報、聴覚情報のいずれも不十分で、両方合わせても内容が把握しにくいという場面に出くわすことはまれではないだろう。また、歩行環境については、歩けるが長距離は無理で途中で休みたい、階段は使えるが緩やかで手すりがあることが必要、わずかな段差はつまずいて転びやすいので危険、というのが高齢者にとって普遍的な問題としてある。これらは、従来の車いす中心のバリアフリーの視点からはなかなか出てこない問題である。東京都町田市など一部の自治体では、高齢化の進展とともにこの問題が噴き出てくるのをかなり早い時点で認識し、障害のないまちづくりにおいて対象とすべき利用者像の範囲を、車いす利用者よりさらに広げている。同時にバリアフリーを示すシンボルマークを、車いすだけから子どもとお年寄りも含めたものに変えているところも出てきた。この考え方こそが、「アクセス・フォア・オール」(誰にとっても使えるものを)といわれる新たなバリアフリーの概念である。
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